会員制の村づくりサービス?完全ゼロ状態から村を作るという究極の遊び
東京から約2時間。千葉県は鴨川市に向かったのは、あの村に行くため。ちなみに村の名前を「あの村」と指しているのではなく、「あの村」という正式名称になります。
2017年2月に始まったクラウドファンディングにて約150万円の資金調達を経て2017年7月20日にあの村はスタートしました。
クラウドファンディングより以前に「あの村」を知っていた私たちは、どれだけ村として完成しているだろうと初めて行くあの村を心待ちにしていました。
あの村へと続くみち。
事前に、運転に自信がないなら車は普通車より小さい方が良いと聞いていたのでコンパクトカーを借りました。高速道路から降りてだんだんと山道に入ります。
あれ。。。ここ通るのか。。。なんて道もありましたが、東京から程よい距離で到着できました。
たどり着いたのは近くにコンビニなんてもってのほか、住居すら見当たらない人気のない場所。
村の中には作られたモノが少し見受けられますが私たちが勝手に期待していた、完成した村はどこにもありませんでした。そしてその期待は後に見当違いだったと分かります。
なぜここにゼロからムラを作り上げようと思ったのか。そして他の村づくりとは違うHATSUの視点や魅力とは。あの村に常駐する村長に、代表の稲沼がお話をお伺いしました。
少し前に台風があり、とても大変だったそうです。。。
ゼロからがいいのは、ルールがないから
稲沼:まず、あの村を立ち上げた理由を教えていただけますか?
村長堀元さん(以下村長):村づくりって珍しいことではないと思います。でもよくある村づくりって持続可能なんです。持続可能に興味はありません。あの村はよりもっと死にもの狂いというか、本当のゼロの状態からやってみたかったんです。そのほうが、ルールが無いし自分らしいカスタマイズができるので。
稲沼:ズバッと言いますね。気持ちが良いです。僕も他の村に行ったことがあるのですが、そこは持続可能、パーマカルチャー、再生などがテーマでした。また以前あった村を再利用していました。
村長:それらとは違う。ということですね。
あの村は会員である村民たちの手で村を作りげていくシステム。本当のゼロの状態から始めるからこそ、まさに飾ることのない村づくり。
ある程度の基盤があって人を招くのではなく、村民と一緒に作り上げていくスタイル。そのぶんあの村への愛着も沸き、深まるのでしょう。
しかも注目すべき点はムラを作る会員は雇われたり、ボランティアではなくお金を払っています。村長は村づくりを遊びだと言いきります。
*パーマカルチャーとは、パーマネント(永続性)と農業(アグリカルチャー)、そして文化(カルチャー)を組み合わせた言葉で、永続可能な農業をもとに永続可能な文化、即ち、人と自然が共に豊かになるような関係を築いていくためのデザイン手法
最初から参加者と作り上げていけないか?そしてそれ自体をコンテンツとできないか?
まわりは本当の未開拓地
やってみたいことは人に話してみるモノ
稲沼:本当のゼロの状態の土地を手に入れるまで難しくなかったのですか?
村長:いまのあの村が実現できたのは、たくさんの偶然が重なったからなんです。
ある人と縁があって、世間話をしていたらこの土地を自由に使わせてもらえることになったのです。「この人に話せばなんとかしてくれそうだな」と思って話したわけではないんです。やってみたいことは人に話してみるものだなと感じています。
思ってもいない出会いからこの1400坪の土地を提供してくれると誰が思うだろうか。やってみたいことは伝えよう。
チャンスは思いがけないところにあるもの。人に話すことで反応も見ることができ、いくら気のしれている相手だったり、ついさっき知り合った相手でも助け舟を出してくれることが実際にあるのだ。
やってみたいことは常に口に出そう。ありきたりな言葉だけれど、どこでどう繋がるかは本当に分からない。
もともとは竹林がうっそうと広がっていたそう。あの村は手付かずの竹林を大伐採することから始まった。
あの村は移住と村づくりの境目かもしれない
稲沼:他の候補地もあったと聞きました。あの村をこの場所に選んだ理由はありますか??
村長:アクセスは無理せず通えるくらいが大事だと思っています。あまりにもアクセスが悪すぎるような、限界集落だとやはり厳しいし、さすがに来るのが億劫になりますよね(笑)。
今の場所以外にも提供してくれそうな土地がありました。でもここに決めた。あの村は関東、さらにいえば東京の隣である千葉ですが、都内から2時間で来れるとは思えないほどの非日常感があるのです。
自分にとって住みたいと思う場所に移住するのではなく、はたまたある程度作られた場所で村を作っていくのではなく。「自分が住みたいと思えるような場所をゼロから自分で築いていく」それがあの村だからこそできることではないだろうか。
アクセス×非日常。日本で一番人口の多い東京から近いため、この日本初の会員制の村づくりサービスが成り立つ。
既にある2つの対極なモノの中間を探る。その中間でHATSUを作ることができそうです。
あなたの業界に既にある2つの対極なサービスの中間はないだろうか?
写真のようにあたり一帯は緑に囲まれ、都心とは真逆の非日常感が溢れる。
気づいたら遊んでいたあの村の体験入村
インタビューの他にHATSUMEDIA取材班で日帰りの体験入村をしてきました。
着いて早々に「お腹空いてます?」と聞いてきた村長。次の言葉は「火になるものを拾ってきてください!」でした。
自分たちで点けた火でホットサンドを作り、コーヒーを淹れました。大自然の中で、自分たちで作るそれはとても格別でした。
そのあと村長によるユーモアを挟みながらの村案内。完成されたモノの紹介はもちろんですが、作りかけのツリーハウス、土台だけの家、何もない平たくした草原。「ここにはこんなものができるんですよ」と村長は未完成のモノを説明します。
一通り案内が終わると、今度は工具を渡されました。「うさぎ小屋を作ってください!」
私たちは不慣れな工具と手つきで無我夢中にうさぎ小屋を作っていました。何分たったのかも分かりません、誰に急かされることもなく、楽しみながら初めての小屋作りを汗をかきながら作っていました。
考えようによってはこれは仕事になります。しかしあの村ではこれこそが遊びなのです。未完成のものを辿る、本能的で達成感のある遊びなのです。
あの村の一員であるうさぎのエビフライちゃんの小屋の扉を作りました。
まとめ
綺麗でオシャレですぐに使えるもの。完成された物があふれているこの世の中。私たち取材班は何の疑いもなくそれらをあの村に期待していました。
すでにサービスを開始しているあの村を、ある程度完成されたコンテンツとして無意識に予想していたのです。
村長は以前のクラウドファンディングから一貫して言っていました。
普通、村作りプロジェクトは、誰かが村を作って「あなたはそこに遊びに行くだけ・少し手伝うだけ」です。
本当の意味で、村を「作る」ところには立ち会えないのです。
一方、あの村プロジェクトは「お客様自身が、作る」のです。
自分の手でなにかをつくり出してみるということが少なくなっているなか、体験入村を通し、会員となり自分たちで広大な土地を使って村を作ることができる。
少しクシャッとした髪で、クシャクシャの笑顔を見せていた村長から今までになかった村づくりという遊びの充実感を感じました。
未完成のものをサービスとする。完成したものでなく一緒に作ることをコンテンツにする。
あの村はあそこにある村ではなく、あそこで作る村だったのです。
究極の遊びをしてみたい!自分たちの村をゼロから作ってみたい!アクセスの良い非日常のあの村を体験してみてはいかがでしょうか?あの村への体験入村は下記のHPから予約可能です。
また家やツリーハウスなど村作りが進むなか、2017年12月現在、露天風呂を作るためにあの村がクラウドファンディングを行っています。支援は5000円~、入浴権利や風呂作りのワークショップ、グランピングなど体験できるリターンがあります。詳細はこちら。
【詳細情報】
あの村
村長Twitter:@kenhori2