旅で世界をもっと素敵に。旅人という新たなスキルを活かす「旅人採用」とは
「旅人って、優秀だと思うんだよね」
そう語る彼は旅を軸にした会社・TABIPPOの共同創業者である前田ルイスさん。
TABIPPOでは、旅に行きたくなるような情報を発信する「TABIPPO.NET」や、旅の良さを肌で感じることができる、授業スタイルのイベント「旅大学」など、旅に関するさまざまな事業をされています。
そんななか2018年3月、いままでとは少し違った切り口の取り組みをスタートされました。それは旅人による旅人のための就職支援サービス・「旅人採用」です。
「旅人採用」公式HPより引用
TABIPPOの企業理念は「旅でもっと世界を素敵にする」。旅人を応援し、たくさんの人の背中を押しています。
旅人であること自体が就職でのスキルになる。という旅人採用は、TABIPPOとしての大きな一歩でもありました。
今回のHATSUは「旅人採用」という日本初の就職支援サービスをご紹介します。
旅人のための就職支援サービス・旅人採用
シェアハウスえいとびた―での同居人でもある2人。(左:稲沼、右:前田ルイスさん)
順風満帆のスタートでも「起業は考えていなかった」
TABIPPOの創業メンバーは全員世界一周経験者。世界一周中に出会い意気投合した彼らは、「日本に帰ったらなにかしようぜ」という約束をしました。
それぞれが地球を堪能してきた後に、あの時の約束を果たすべく当時はまだインカレサークルだったTABIPPOをスタート。世界一周の知識や情報をWEB上で伝えたり、飲み会などのイベントを開催したりしていたそうです。
前田ルイスさん(以下、ルイス):旅人ブログランキングというのがあって、そこに参加している同世代の人たちが集まってできたんだ。出身大学はほとんどみんなバラバラ!
世界一周から帰国後はTABIPPO活動に没頭。初めは30人の飲み会からはじまり、翌年には1,200人を動員するようなイベントを開催するにまで至りました。
それぞれ卒業・就職してからも、現役の学生たちと混ざって活動は続けたそうです。
当時のイベントの様子(TABIPPO・Historyより引用)
きっかけは本の出版と当時の現役だったスタッフ
稲沼:かなり順調な滑り出しだと感じるんですが、それでも創業者のみなさん一度は別の会社に就職をされたんですね。
ルイス:うん。うまく軌道に乗り始めたときにはメンバーの数人が既に就職してたり、それぞれの進路があったから全然起業する気はなかった。
稲沼:なるほど。では、そこから法人化しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
ルイス:きっかけは本の出版と当時現役だった学生のTABIPPOメンバーかな。
本は、TABIPPOにウユニ塩湖のガイドブックと世界一周のエッセイ本を2冊同時に出版できる話しをもらえて、いざ出版してみたら合計で7万部くらい売れたんだよね!
これはTABIPPOを仕事にできるかもしれない!って希望が生まれて。(笑)
出版された本(TABIPPO・Historyより引用)
丁度そんなときに、当時現役の学生スタッフたちが全力でイベントを盛り上げている光景がすごく印象的だったんだよね。改めてTABIPPOとの関わり方を考え直したくなった。
悩みだしたのは2013年の2月頃からでした。人生で本当にやりたいことはなんだろう、もっと自分たちの気持ちに正直に、新しい挑戦に一步踏み出しても良いのではないか。そんな気持ちを後押ししてくれたのは、自分たちが主催しているイベント、そして一緒に住む恵比寿ハウスの仲間たちや同世代の友達たちでした。 (TABIPPO「History」より一部抜粋)
ルイス:それがきっかけになって「会社を辞めて、TABIPPOを本業にしよう」ってなった。
出版で得た資金も少しあったし、それぞれ就職先で数年積んだ経験もある。TABIPPOを起業させてビジネスにしていこうと決めました。
大阪ガス、(株)オプトでの会社員時代を経たルイスさん。
「旅人って優秀だと思うんだよね」
稲沼:「旅人採用」にはどんなきっかけがあったんですか?
ルイス:旅人の経験が評価されるシステムをつくりたかったんだよね。
というのも、いままでTABIPPOでやってきたことは旅をすることの文化づくり。「旅に行くことへの後押し」だった。
でもそれだけじゃ僕たちの目的・企業理念でもある「旅でもっと世界を素敵にする」というところまでは近づけないと思っていて。
今までは行くことへの後押しだったから、帰ってきた人の受け皿も整えようというのがきっかけかな。
稲沼:なるほど。たしかにTABIPPOさんって、旅のお役立ち情報を発信することから「旅に行く前」っていうイメージが強いですね。これからは旅人採用で「帰ってきた後」にも繋がるんですね。
ルイス:そうだね、たくさんの人が旅に行ってくれたから、帰国後に向き合っての企画です。
あと、旅人って優秀だと思う。有名企業の社長とかって元バックパッカーって人めっちゃ多いんだよ。だからきっと旅人の皮かぶってるビジネスマンみたいな、隠れ旅人がいるんじゃないかと。
ルイスさん本人も、世界一周を2回経験済みという生粋の旅人
「旅人を採用したい」という企業を増やせば、世界はもっと素敵になる。
ルイス:旅人採用が広まれば広まるほど、世界は素敵になると思うんだよね。
よく電車が数分遅延して舌打ちしたりイライラする。ちょっと肩がぶつかって舌打ちする。そういう雰囲気を旅人採用で変えていけると思っていて。
たとえば、インドでは電車が時間通りに到着するだけですごいし、人や牛とぶつからずに歩く方が難しい狭い通りも多い。
旅人採用が広まれば世界を自由に旅した経験が認められる。旅人が就職しやすい世界になってもっと旅人が増えたら、日本中の視野が広がって当たり前を大切に、毎日がもっと楽しくなるんじゃないかなって。
稲沼:なるほど。まさに世界が素敵になる第一歩ですね。
ルイス:そうだよね。そのために旅人採用では本人が気づいていない価値を見つけてあげたい。
たとえば旅人って、「将来こうゆう人間になろう」とか考えて旅してる訳ではなくて。もっと短期的に「あれみたい。これみたい」とかのレベルだと思うんだよね。
そういう旅で得たたくさんの点たちを線として繋いであげて、意味を見出していきたい。
「旅でもっと世界を素敵にする」という企業理念をかがげるTABIPPO。まるで夢のようでまぶしい場所を目指す彼らは、旅をするかのように楽しみながらビジネスしているように思えます。
現に「旅人採用」は多くの旅人から反響があり、その反響に応えるべく、いま現在は就職先の企業も募集されているそうです。
旅人採用によってすでに世界は素敵になっているのかもしれません。
【詳細情報】
旅人採用
HP:http://tabibito-saiyo.com/L