あえて工夫してない音楽ジャンル。ないなら自分でつくればいい。日本初ストーナーロックレーベル

前田麻衣

MUSIC Cool!! 2018.05.04

2014年11月、あるバンドが楽器だけを担いで海外へ

日本での活動をこなすBahbonはロンドンで演奏をしたいと思い立ち、ロンドンにあるライブハウスにひたすら営業メールを送り続けました。しかし健闘虚しくライブハウスからの返信はゼロ。けれども彼らはロンドンへ向かいます。

Bahboonの運営スタッフであるカヅキさんは、

カヅキさん（以下、カヅキ）：あのときは、ライブハウスへ直談判をする毎日だった。ライブハウスをいかに盛り上げることができるかにかかってて、本当にがむしゃらにやるしかないんですよね。で、そのロンドンでの彼らのがむしゃらがすごくよかったんです。日本では見せない彼らの必死さを見れました。

ロンドンでは彼らの音楽性が評価され、結果1カ月で17本のライブを成功。そしてロンドンにて「ストーナーロック」の影響を受け、音楽業界で日本初の「ストーナーロックのレーベル・LITTLE REX QUEEN」を立ち上げます。

今回はLITTLE REX QUEENのカヅキさんと須山さんにお話をお伺いします。

日本初・ストーナーロック専門のレーベル

（左）須山さん、（右）カヅキさん

ストーナーロックは昔ながらのラーメンみたいなテイスト

ストーナーロックは、ハードロックのジャンルの一つ。グルーヴ感に富み、分厚くディストーションをかけた荒いブルースサウンドが特徴。
引用元：ウィキペディア

稲沼：ストーナーロックって珍しいジャンルなのかなと思う人も多いと思いますが、、？

須山さん（以下、須山）：そうだね、でもとりあえずロック中のロックなんだよね。難しく考えがちだけど「工夫のないロック」だと思う。ただ「あえて工夫してない」んだよね。ストーナーロックバンドを色々聞いてみると、あんまり違わないこともたまにある。逆に個性を削ぎ落としてしてるの。

稲沼：個性をそぎ落とすとは？

須山：なんか、辛くしなくてもいいラーメンを辛くしちゃったみたいな（笑）そのままが一番おいしいのにって思うことない？昔ながらのお店とかのラーメンとか。それと同じでシンプルを突き詰めたものだと思うんだよね。

稲沼：なるほど。昔ながらのラーメンってまずいっていう人あんまりいないですもんね。

須山：そうそう。ストーナーロックってそれほど純粋なロックなんだよね！

実は稲沼がバンドマン時代の先輩でもある須山さん

あまり知られてないからビジネスチャンスだと思った

Bahboonのギターであり、レーベルを立ち上げ人でもあり須山さんは、こう言っています。

実はロンドンのレーベルにもリリース交渉していたのですが、やはり無名の日本人バンドへの風当たりは厳しく、全く相手にして貰えませんでした。しかし、良く考えてみたら、私達は皆さんのご協力がありながらも、ほぼ自前でツアーを組めた訳ですから、リリースも自前でやってしまえば良いとつい先日気が付いてしまったのです。
引用元：LITTLE REX QUEEN公式HPより

稲沼：LITTLE REX QUEENを立ち上げたのは、ロンドンでのライブがきっかけだったんでしょうか？

カヅキ：そうですね。一番はBahboonを売り出すため。ストーナーロックが広がれば、結果的にBahboonを知ってもらえるだろうなと思って。

須山：そう。レーベル付かないなら全部自分でやっちゃおうって思ったの。Bahboonとして活動をしているなかで、疑問に感じることが多くあって。ただ一人だと限度があるから、カヅキに一緒にやってもらえないかって頼んだんだよね。

カヅキ：わたし自身、Bahboonを知ってからストーナーロックを知ったんです。そしたらだいすきになって。そういう経験をさせてくれたBahboonの誘いだったから受けました。

今回は、「なにもない状態から立ち上げる」っていう経験をさせてくれると思った。あと単純にお金のにおいがしたのもあります（笑）。

須山：ストーナーロックって有名なバンドはいるのに、知られてないんだよね。「あ、あのバンドってストーナーロックだったんだ」っていうバンド名だけ一人歩きしている感じ。聞いたことあるけどそれがストーナーロックって認知されてないだけなんだよね。そこが逆にビジネスチャンスだと思った。

元々Jロックばかり聞いていたというカヅキさん。

HATSUは引き算。みんなやろうとしないだけ

稲沼：今回、LITTLE REX QUEENというHATSUを生み出されたと思うんですが、HATSUをつくるコツってありますか？
須山：おれ、HATSUを作るためには引き算が必要だと思ったんだよね。目的に対してシンプルにしていくと、意外と誰もやってないと思う。いま俺たちがやっていることもそう。レーベルがつかないなら、自分で作っちゃえばいいだけ。それをみんな何かしら理由をつけてやろうとしないだけ。

稲沼：なるほど。

カヅキ：わたしも原点回帰することだと思いますね。Bahboonを知ってほしいためにレーベルが必要だった。必要なのであれば作れないわけじゃないから作った。ほんとにシンプルです。